IAM の概要と設計方針

はじめに

こんにちは、missi です。「AWS 環境に WordPress をなるべくお金をかけずに構築していく」のシリーズとして記事を書いています。このシリーズでは、「AWS 上に WordPress を構築するために必要なリソースを最小限に抑え、コストを抑える方法について」お届けしています。前回は「AWS アカウントの作成と最初のセキュリティ対策」をテーマにお伝えしましたが、今回は「IAM の概要と設計方針」をテーマにご紹介したいと思います。

IAM について

IAM(Identity and Access Management)は、AWSリソースへのアクセスを管理するためのAWSのサービスです。IAMは、ユーザー、グループ、ロール、ポリシーの概念に基づいて構築されています。IAMを使用すると、AWSアカウントのユーザーに、必要な権限を与えることができます。IAMを使用することで、セキュリティを強化し、アカウント内での作業をより効果的に制御することができます。

以下は、IAMの主な機能や用語です。

  • ユーザー: IAMで作成されるアカウント。各ユーザーには、アクセスキーとシークレットアクセスキーがあり、AWSにアクセスするために使用されます。
  • グループ: IAMユーザーのコレクション。グループにアクセス許可を付与することで、そのグループに属するすべてのユーザーにアクセスを付与できます。
  • ロール: IAMユーザーと同様に、一意のアイデンティティを持つが、AWSサービスやアプリケーションなどのエンティティに割り当てられます。ロールには、信頼ポリシーとアクセスポリシーがあります。
  • ポリシー: アクセス許可のセット。ポリシーはJSON形式で定義され、ユーザー、グループ、ロールに関連付けられます。

IAMは、AWSのセキュリティとアクセス管理を向上させるための重要なツールであり、AWSアカウントのセキュリティを確保する上で欠かせないサービスです。

IAM を設計する

IAMの設計は、AWSアカウントのセキュリティを確保するために非常に重要な役割を果たします。以下は、IAMの設計を行う際に考慮すべきポイントです。

  1. 最小限のアクセス権限の原則を遵守する
    IAMの設計において最も重要な考慮事項の一つは、最小限のアクセス権限の原則を遵守することです。つまり、各IAMユーザー、グループ、ロールに必要な最小限の権限を付与し、不必要なアクセス権限を持たせないようにすることです。これにより、セキュリティの強化と誤ったアクションによるミスを防ぐことができます。
  2. ロールの使用を推奨する
    IAMロールを使用することで、AWSアカウントに直接ユーザーアクセス権限を付与する必要がなくなります。代わりに、必要に応じてロールを作成し、IAMユーザーにロールのアクセス権限を付与することができます。これにより、アクセス管理の柔軟性が向上し、アカウントのセキュリティが強化されます。
  3. ポリシーの適切な管理
    IAMポリシーは、アクセス許可を管理するための重要なツールです。適切に定義されたポリシーにより、最小限のアクセス権限の原則を遵守し、必要なアクセス権限を付与することができます。しかし、ポリシーを適切に管理しない場合、アカウントのセキュリティに影響を与える可能性があります。ポリシーの管理には、必要な権限のみを付与し、不必要な権限を削除することが重要です。
  4. 外部IDを使用してクロスアカウントアクセスを設定する
    クロスアカウントアクセスを設定する場合、IAMロールの外部IDを使用することが推奨されています。外部IDは、認証を行うための追加のセキュリティ層を提供するために使用されます。この外部IDを使用することで、誤ったアカウントへのアクセスや不正なアクセスを防ぐことができます。
  5. IAMの監視とレポート
    IAMの設計は、アクセス管理だけできれば、IAMの監視とレポートも含めて考慮する必要があります。AWSは、CloudTrailやAWS Configなどのサービスを提供しています。これらのサービスを使用することで、アカウント内でのアクションや設定の変更を追跡し、セキュリティ上の問題を特定することができます。また、AWSはIAMの監査ログを提供しており、これを使用することで、アカウント内の誰が、いつ、何を行ったかを確認することができます。
  6. IAMの設計の見直し
    最後に、IAMの設計は、アカウント内のビジネスニーズやセキュリティ上の脅威が変化するにつれて、定期的に見直す必要があります。特に、新しいIAMユーザーが追加された場合、新しいアクセス権限を付与する前に、そのユーザーの役割と必要なアクセス権限を慎重に検討することが重要です。また、定期的にアカウント内のポリシーをレビューし、必要に応じて削除や更新を行うことも重要です。

以上が、IAMの設計において考慮すべきポイントです。IAMの設計を慎重に行うことで、AWSアカウントのセキュリティを強化し、アクセス管理の柔軟性を向上させることができます。

おわりに

今回の記事は以上となります。このシリーズでは、「AWS 環境に WordPress をなるべくお金をかけずに構築していく」をお届けしていますので、ぜひ過去の記事もご覧ください。


投稿日

カテゴリー:

,

投稿者:

タグ: